Friday, May 26, 2017

2017-05-04 GW階段巡りツアー2日目 和歌山県海南市黒江 大崎 有田市矢櫃 由良町白崎

二日目は紀勢線の冷水浦駅のベンチで目覚めると始発で2つ隣の黒江駅へ。

5:42 冷水浦駅発 → 5:47 黒江駅着

黒江駅と海南駅の間はちょうど山が途切れていてそこを県道9号線が走り、その両側に階段群があります。

駅周辺や平地は別ですがこの辺の急傾斜地はかなり空き家が多い。住んでる方にちょっとお話を聞いたんですが、やはりかなり過疎化が進んでるとのこと。

特に斜面の上のほうは廃墟率がものすごく高い。デニムの洗濯物がかけてあるのでまだ住んでる方がいるのかと思ったけどどうみても廃墟でした。

斜面から南東方面を眺める。向こうの山との間に街が伸びているのがわかる。

ここも斜面の上は空き家。

峠を越えて中言神社の近くまでやってきた。和歌山市周辺の海沿いの街に特徴的な薄い岩で作った石垣です。しかし人が住まなくなると石垣のメンテも行われず、裏で土が流出し突如石垣が崩壊する、といったことが発生するのだとか。


中言神社の周辺は空き家率が多いというよりもはや廃墟群となっていた。このあたりは恐らく街道の宿場町として黒江が賑わっていたころに人が住み始めたのだろうけど、街道がメインルートではなくなり干潟も干拓され住む場所が広くなった結果、斜面の家々はどんどん廃棄されていったのだろう。街ができる歴史もあれば、街がなくなっていくのもまた歴史なのだ。

なんか空き家と廃墟の写真ばかり載せてると黒江がそういうとこだって思われそうだけど、急傾斜地が特別早く過疎化してるってだけで、平地はそんなことないですよ。

平地の方はこんな町並みでとても情緒がある。この次の週に黒江めったという今年初のイベントが行われたそう。めったとは和歌山の方言でメダカのこと。黒江ものすごくいいところだったし、次の黒江めったはぜひ行きたいところです。

なお海南は鈴木姓発祥のまちだそうなので、鈴木さんはぜひ行くといいと思います。ちなみに黒江駅ついてから海南駅を出発するまでの間は1時間50分。さすがに短すぎたw でもローカル線使って旅をするとどうしても時間がタイトになるのです。。。最後時間が足りなくなって2個ほど見れない階段を残し、駅まで走ることになりました。

7:38 海南駅発 → 7:49 下津駅着

途中の加茂郷駅で降りると塩津港と戸坂港まで歩いていけてそこも超いい階段群なんだけど、去年行ったので今回はスルーです。またそのうち再訪しますが。下津で降りた目的は大崎までいくこと。

地図の左上が大崎です。実は加茂郷駅から行くほうが僅かに近いですが、加茂郷駅は前回使ったので今回は下津駅で降りてみた。あと加茂郷駅からだと1日2回コミュニティバスが出ているのでそれを使うのも手です。だけど時間が合わないので今回は歩きで…といいたいところですが10:10の電車に乗らなくてはならない。猶予は2時間20分。下津駅から大崎までは5kmなのでのんびりしてたら往復する時間しかない。大崎を見て回るためには…走るしかないですね。駅に降りたら即ランニング開始です。しかし走りつつ地図をみて思ったのですよ。ショートカットすればもうちょっと早くなるんじゃないか?
こういうことです。

具体的にはここを越えていきます。
天気もよく気持ちよく登山気分で山越え…

それがまさかあんなことになるとは…

結論から言うと山越えは非常にオススメできません。めちゃくちゃ辛い。平地だと走っててもちょっと疲れるくらいだけど登りになった瞬間に疲労度がハンパない。そしてちゃんとした道があるわけじゃないからあっちいってこっちいって全然直線では進めない。結果としてふつーに下の道を回っていったほうが早かった。急がば回れということわざの意味をまざまざと見せつけられました。

でも山の上からみた大崎港はよかった。これが見れたので登ったかいはあったということにしましょう。大崎は入り組んだ地形の奥にある港なので廻船の風待ちをする場所として発展したそうです。


大崎はかなり小さな漁港で階段の数もさほど多くないので40分もかからないで全階段を巡れた。帰りは山を登らないで回っていきます。下津駅か加茂郷駅に無料のレンタサイクル置いてあるとよいなあ。

10:10 下津駅発 → 10:16 箕島駅着


箕島は有田市内の街。目的地は矢櫃漁港ですがコミュニティバスが少し前に出てしまっているのでバスは使えません。大崎で頑張ったら一つ前の電車に乗れる可能性はあったんですが土日はコミュバスが予約制なので、予約しておいて乗れなかったりしたら申し訳ないので予約しませんでした。なので走ります。

30分ほどで途中の宮崎町に到着。ここは階段があるわけじゃないんだけど、入り組んだ路地が非常に素敵な地区。そしてものすごくディープな文房具屋さんがあり、そこでお話を聞いたりしました。

矢櫃に行く前にまず女ノ浦集落へ。事前調査によると女ノ浦から矢櫃へいく遊歩道があるとのことだったので、それを使ってみることにした。

遊歩道からみた剣崎。この先に宮崎ノ鼻という場所があるそうだ。海の向こうに淡路島が見える。

矢櫃に着きました!このみつしり感。


地図でみるとこんな感じです。道路は1本しか通じていない。これだけ見事なスリバチ漁港はなかなかないですね。

ここはかつて宇宙アポロ風呂というロープウェイで湯船を運ぶというトチ狂った優雅なものが存在した旅館だそうですがあえなく廃業。そりゃそうだ。中央に建っている柱がかつてのロープウェイの跡。

昭和まで漁港としてかなり繁栄したらしくいろいろな逸話もあるようだけどそれも今は昔、人口の減少は避けられない。でもここは保養地的な立地としてはすごくいいと思うんだよね。ここからはじまる有田みかん海道という道は自転車で走ったらものすごくよさそうだし。

ほんとのんびりしたくなるような景色ですが残念ながらそろそろ出発しなくてはならない。くるときに気がついたんだけど遊歩道を歩かなくてもこの写真の中央を直接越えて女ノ浦に行く旧道があるようだ。そっちのほうがかなり時間短縮できるのでそれを使って戻った。恐らく道路が通じる前はその道と船だけが交通手段だったんだろう。

ここは矢櫃の隣の逢井地区。隣といっても直接アクセスすることはできず、むしろ逢井にいくためには数百mの長いトンネルを通る1本道しかない。階段は少ないけど集落としての隔絶感は矢櫃より上だ。

逢井から箕島駅へ戻る途中で農家の納屋を何気なくのぞいたら牛がいてびびった。

14:20 箕島駅発 → 14:41 紀伊由良駅着

次の目的地は由良町の白崎地区。白崎は紀伊由良駅からバスが2時間おきくらいで出てるのでアクセスしやすい。15:05発のバスに乗ります。

白崎では時間に余裕があったので階段を巡る前に先にちょっと離れたところにある立厳岩を見てきた。この写真の中央くらいにあるテラスで写真撮ろうとしたんだけど、この岩がけっこうもろい感じでホールドしてる岩がゴロッと外れてそのまま下に落ちそうでけっこう怖かった。

白崎はこの日巡った中では唯一地図が詳細ではない地域だったのでいくまでどれだけ階段があるか不明だったんだけど(ストリートビューと衛星写真である程度あるのはわかっていた)、思ったより階段いっぱいあるしいいところだった。

釣り客も多いし、砂浜があるから海水浴客もいた。GWから海開きしてるのかわかんないけど。

17:20のバスで紀伊由良駅へ戻った。残念ながらこれが終バスなので日没は見れず。

18:17 紀伊由良駅発 → 19:11 紀伊田辺駅着

この日は田辺駅で下車して20時までやってる銭湯へ行くはずだったんだけど、2kmほどあるので歩いてたら間に合わないから走っていったら廃業してました…。しかもGoogle Mapsで検索し直したら数百m先に同じ名前の銭湯スポットがあったので位置間違い?と思ってそっちまでまた走ったら事務所かなんかわからんけど何もない民家だった。ということで1日4回走った上にお風呂に入れず。とぼとぼと終電で椿駅へ向かったのであった。写真は数少ない田辺市内の階段。これが撮れたのでよし、ということにしよう。

https://goo.gl/photos/MzDtqmy6CuyZwtbSA この日のアルバム。

Wednesday, May 24, 2017

2017-05-03 GW階段巡りツアー1日目 大阪 上町台地

GWは近畿で階段巡りをしてきました。最初は夜行バスで和歌山まで行こうと思ったんだけど和歌山便は埋まっていたので大阪までいって、初日は上町台地の階段を巡ることにした。上町台地はちょっとだけ歩いたことあるけどほんの一部だけだったので、全部いってみようと。ルートはこんな感じ。

これがだいたいこの地域の全階段なので、階段の位置から上町台地の形状がなんとなくわかると思います。海側が綺麗に一列になってて、そっちが崖線で内陸にむかってなだらかに傾斜している。古代は内海になっていたそうだ。

バスの予定時刻は朝6時半に大阪駅到着だったんだけどGWということで思いっきり渋滞に巻き込まれ9時頃着。この日は26〜27kmくらい歩くルートなんだけど、普通に階段を巡ってると時速3キロ以下になる。夕方に友人と待ち合わせがあるしなるべく早めに終えたいのでちょっと急ぎ目で巡りました。

天満橋で降りて一番最初の階段。ブラタモリにも登場したらしい、上町台地で一二を争う人気階段です。石段の風格だけでなく、上町台地の北端に位置し元は船着き場であったという歴史もあり名実ともに上町台地の門番と言える存在。あまりに尊くて一段一段をじっくり踏みしめて登りました。

大阪医療センター西の階段。似たような階段が崖線に沿って4つ並んでいます。

空堀の路地の奥にある階段。かなりマニアックな場所なので知ってる人はあんまりいないと思う。

長堀通の榎木大明神下の階段。万城目学の小説「プリンセス・トヨトミ」にも出てきました。

谷町六丁目駅の階段。階段自体もいいんですが、右のマンションの下にある階段が見事なトマソンとなっているということで何度かインスタで見たことがあります。

上本町の階段。最初みたときギョッとしたほど素晴らしかった。木造住宅とレンガ造りの階段のコンボがたまりません。ただ今みてみると上町台地にあって飛び抜けて「良すぎる」きらいがなくもないかな、と。この階段は上町台地の最上位かもしれませんが上町台地を表している、というにはちょっと飛び抜けているかもしれない。

それでいうと自分はこの階段を上町台地代表にしたいところですね。民家の密集感と階段の造形が組み合わさった素晴らしい階段です。

上町台地の顔役、源聖寺坂。上町台地の中心に位置し、かつ長さや一段の素晴らしさで登るものを魅了する。関西で最も有名な階段かもしれません。後ろにみえるラブホのオブジェもキュートですね。夜は光ってるんだろうか?

天王寺動物園北側にある路地の階段。アウトローな雰囲気。人を入れて撮るならこういう階段だと良さそう。ポートレートってほとんど撮らないんでよくわかりませんが。

西成の猫。まあ触ってもええけどな、という感じ。

西成のなんらかの建物を取り壊したあとに現れた崖線。

天下茶屋の階段と湧き水。現在上町台地で自然に湧き出る水はかなり少ないらしく、ここが唯一との説もある。ただしちょっと飲む気にはなれない水だ。あと階段の途中でおっちゃんが気持ちよさそうに寝ていた。東京と比べると大阪は道端に座っている、寝ているおっちゃんがものすごく多い。なので自分も郷に従ってそこらへんに座っていた。

聖天山近く。このあたりから段差がぐっと小さくなってきて台地の終わりを感じさせる。



微階段の連続。逆にもうこれ階段じゃないほうがいいでしょ、というくらいの高低差になってきた。

思ったより早く終わりそうで時間に余裕があったのでちょっと寄り道して牡丹湯という銭湯で汗を流します。いい銭湯だった。

上住吉二丁目の小さな階段。これより南にまだいくつか階段はあるけどどれも東西に流れる川に向かって南に登る階段だった。つまり台地の斜面ではなく川の堤防的な斜面。なので、この微階段が上町台地そのものの南端にある階段であると考えられる。

上町台地は階段の数自体がものすごく多いわけじゃないし、密度もさほど高いわけではない。でもこれはいい!という階段の割合が多くて、歩きやすいしある意味コスパの良い階段群と言えるかもしれませんw もちろん戦国時代の歴史もあるのでそういう目線で歩いても楽しいだろうし、いろんな楽しみ方のできる素敵な地域ですね。

このあと電車で鶴橋に戻って友人と焼肉を食べ、それから和歌山へ向いました。

この日のアルバム。 https://goo.gl/photos/QhhHU8NkNYfyHpEw6