Monday, May 28, 2018

長崎、ドンドン坂の謎の考察(未解決)

長崎は坂が多すぎるゆえに東京と比べると名前を持つ坂は逆に少ない。自分はあまり名前にこだわらないので正確なところはリサーチしていないが、たぶんあっても数十くらいだろう。

東京は長崎と比べると坂は大人しいし少ないが、名前を持つ坂は800以上あると言われている。(坂には行政上の正式な名前というものはなくあくまで通称なので同じ場所でも複数の名前があったり、資料によって場所がずれていたりすることがあるので正確な数は数えられない)

長崎の坂で最も有名なのはおそらく東山手にあるオランダ坂だろう。オランダ坂は日本三大がっかり名所に数えられることもあるが、石の坂と木造建築の組み合わせは非常に美しく、ここを見てがっかりする気持ちがまったくわからない。歴史があるだけでなく、とても美しい坂だ。

そしてこのオランダ坂から少し離れた南山手にドンドン坂という坂がある。こちらもオランダ坂ほどではないが知名度はそこそこ高い。

まあ立地的にも見た目としてもオランダ坂に比べると少し地味なドンドン坂であるが、その名前の由来は「雨のときに水がドンドン流れるから」というのが定説である。

ほうほうと納得しそうになるが、「ドンドン流れる」というのはいかなる状況だろうか。ドンドンを「次から次へ」と解釈すれば意味は通るが、雨の時に水が側溝を次から次へと流れるのは当たり前でわざわざそんな名前をつけるとは思いにくい。そうすると次に出てくるのは擬音語としての解釈だが、流れる水がドンドンと鳴るということは果たしてあるだろうか。

ということは以前から少し考えていたのだが、今回長崎を巡っているときに何度か雨に会い、そのとき坂道で面白い音を聞いた。以下の動画を見てもらいたい。


側溝から見事にドンドンと太鼓のような音が聞こえてくる。しかし運が悪いことにこの側溝はメッシュの蓋がされていて中をみることができず、何が起きているのか確認できない。そこでふと去年群馬県の伊香保温泉に登ったとき(そう、登ったのである)林道で見た側溝を思い出した。たまたま録画していた映像が次である。



これは流れてきた水が段差によって波状になり、下っていく様子だ。上の動画ほどではないがドクンドクンという脈動のような音が聞こえる。おそらく上の側溝の中でもこのような波が発生し、ぶつかって、ドンドン鳴っているのではないだろうか。

さて問題はドンドン坂でこのような波が発生しうるのか、というところである。残念ながら今回自分がドンドン坂を通ったとき雨は降っていたもののあまり強い雨ではなく、水量はさほど多くなかった。しかし面白いことに気がついた。

先のドンドン坂の写真では側溝は普通の形をしているが、上部ではV字状になっているのである。これは三角溝と呼ばれる長崎独自の工法で、排水性を高める目的があるという。もしかするとこの形状の変化するところで波が作られているとは考えられないだろうか。しかもドンドン坂の上にあるつくる邸の方に聞いたところによるとドンドン坂はV字、U字、コの字と3段階になっているそうだ。上の変化で波が作られ、次の変化にぶつかって音が出る、と考えると辻褄が合う。

あくまでこれは推測であり実際のところは不明である。ただ、側溝を流れる水がドンドンと音をたてるというのは比喩ではなく実際にあり得ることだということはわかっていただけたのではないだろうか。

なおドンドン坂の石畳は斜めになっているが、これも水が流れやすいようにする工夫だそうだ。長崎は、雨とともにある土地なのだ。

次回も雨と長崎と坂の関係について書こうと思う。

高島の三角溝。三角溝といえばこれが最も有名のようだ。