ところで駅構内で火気は使えないので、温かいものを摂るためには別のところでお湯を作って持ってくる必要があります。自分は前日に乗り換えの平岡駅で電車待ちの2時間弱の間に駐車場でお湯を作って、モンベルのアルパインサーモボトルに入れてきました。このサーモボトル、値段はサーモスより安いけど性能はサーモス同等を謳っているのでこのときのために買ってきたのです。実際前日20時に入れたお湯が翌朝6時でも熱くて味噌汁作るには適温でした。
実は前日の夜電車の乗り換えで平岡駅に降りたとき時間があったので少し散策をして階段の目星をつけておきました。この地域はGoogle Mapsにおいて地図が詳細ではないので階段の位置がわからず、衛星写真と勘で階段の位置を推定していただけだったのです。しかも乗り継ぎの関係で平岡にいられるのは1時間ほど。車内で準備をして、電車を降りた瞬間に小走りで階段巡りを始めましたw この階段は国道沿いなのでストリートビューで見つけていた階段。でもストビューだと右側に商店があってそれがとてもいい感じだったのですが、残念ながらすでに取り壊されてしまっていた。
平岡駅周辺で最も素敵な階段。梅が横切っています。この階段は平岡発電所が建設されるときに資材を運搬するために作られた道で、インクライン、略してインクラと地元では呼ばれているそうです。と、案内には書いてあったけど、本当に今でもインクラって呼んで通じるのか、自分はちょっと疑っていますw
インクラを上から見ると、天竜川にかかる平岡橋も一直線に並んでいることがわかる。
ちなみに前日の夜歩いたとき平岡発電所前の広場に提灯がいっぱい吊るされていたけど、誰もおらず、ただちょうちんだけが揺れているという相当にシュールな光景だった。桜まつりの準備かもしれないけどこの地域に桜が咲くのはまだかなり先だと思う。。。
探したらもうちょっとは階段見つけられるとは思うんだけど、とにかく時間がなかったため切り上げ!でも大物は見つけられたと思う。またいつか来よう!
そして今回の旅の最終目的地、飯田へやってきました。今までの秘境感は一気に消え去り、もう大都会ですね。久しぶりにコンビニを見つけて写真撮ってしまったw 天竜峡より北部は天竜川の隘路となっている区間と違って、中央アルプスと南アルプスに挟まれた細長い盆地に河岸段丘が形成されている地形。写真を撮っているのが飯田市街地のある台地上で、下に松川という天竜川の支流が流れ、その向こうにも台地の崖線が見えています。
飯田線はこの飯田で大きくカーブを描いて市街地へ入っていくのですが、このカーブが俗にΩカーブと呼ばれたりします。そして先の写真の対岸にある下山村駅から伊那上郷駅まで電車は駅に停まりながら6kmを走るのに対し道路は2kmなので、下山村駅から伊那上郷駅まで走ってまた同じ電車に乗る、下山ダッシュが行われることになるのです。自分も興味はあるけど今回はそこまでの時間の余裕はない…
あと下山ダッシュは元々飯田高校の生徒が遅刻を回避するために生み出されたと言われているけど、現在の時刻表では下山ダッシュすることで遅刻を回避できるような時間に電車が走っていないので常態としては行われていないと思われます。あくまで好事家のイベントでしょう。
しかし見事な階段と民家、風景の組み合わせ。
追手町小学校前の陸橋から。情操教育にもってこいですね。
飯田城跡を突き抜けて台地の逆側に出ました。こちらは目立った川ではないですが小さな川が流れていてそのまた向こうに別の台地があります。
東栄町から飯田台地の先端(いわゆる塙)を眺めたところ。台地が2つの川に挟まれていて、先に城郭跡があるというのは金沢と同じ地形ですね。金沢城が位置する所に、飯田の場合は旅館が建っています。
しかしこちら側の台地間の迫り具合はなかなかよかった。下の川が小さいので、河川敷などはなく民家が密集しています。
いい階段ですねえ。
2つの台地を形成した川も、今では地図に名前が載っていないほど小さなものに。
主税町の階段。町名からわかるとおり、飯田の中心地です。しかしこのひっそりとした感じが裏路地っくでいいですね。
最後にラーメンか何か地元っぽいものを食べて行きたかったのですが、飯田でも4時間がっつり階段を巡って最後はけっこう慌てていたのでスーパーで普通のお弁当を買って飯田線の中で食べることになった。まあそれも自分らしいか…
3日間かけて飯田線沿線の階段群を南から北へと辿ってきましたが、それは日本列島の形成から有史以前の人間の生活、江戸時代、明治以降の近代化、そして現代の街へと繋がる非常にダイナミックな歴史を感じさせてくれる旅でした。階段は人間の生活の歴史である、というのがいつもの自分の主張ですが、まさにそれを表している地域といえます。ありがとう飯田線、また来るよ!
階段 is beautiful!
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